日本のフードロス問題を解決するのは〜慈しみの気持「もったいない」

2021 3/31

旧暦の「桃の節句」に投稿しました記事では、多くの「食べられる食べ物が」処分されている実情とヨーロッパで根づき始めているフードロスを減らしていく試みを紹介しました。本日の記事では、ものを大切に思う「もったいない」という心が育まれてきた日本の現状をお伝えします。私たち自身が直面している課題、フードロスに感心を持ち、より「豊かな」選択をしていくと、私たちの暮らしが変わり、地球もよろこぶかと思います。

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日本のフードロスの現状

はじめに、日本国内の現状を見てみましょう。

2012年から2017年の5年間を見てみると、少しずつフードロスの総量は、減ってきています。
それでも、2017年のフードロスは、612トン。
この約半数が、家庭から出る「食べられる食べ物」と言われています。

現在日本の食料自給率は、カロリーベースで見ると約40%と言われ、
日々、食卓に上がる食べ物のうち約半分は輸入された食材です。

他の国で育てられた食材を「お金」で購入して、エネルギーを使って輸送している。
そして、ひとりにつきお茶碗1杯分のフードロスが、毎日「ゴミ」として捨てられています。
農林水産省では、2030年までにフードロスの総量を現在の半分に減らす目標を上げています。

フードロスを減らすと変化する暮らしと環境

たくさんの食べ物を輸入に頼っている私たちが、フードロスとして今まで捨てていた食べられる物を
捨てずに食べる工夫をしていくと、食料輸出国の自然環境を守り、
輸送にかかるエネルギーを減らせます。
そして、嬉しい波紋はまだまだあります。

・食料を捨てる時に発生する費用やゴミとして処分する時のエネルギーの削減
・フードロスの処分に当ててきた税金が節約できると、余剰分が有効的に使われる可能性
・地球環境にかかる負荷も減少

そして、私たちが何気なく購入している商品やレストランで出される食べ物には、
余剰分を処分をする時に発生する費用が足されていることがあります。
フードロスが大幅に減っていくと、お店に並ぶ商品の価格が下がると言われています。

「もったいない」という私たちが生まれ持っている思いから、
食べ物を大切にする意識と行動が当たり前になっていくと、数字や目に見える変化だけではなく、
ひとりひとりの心も豊かになり、社会のあり方も変わってく、大きな可能性を秘めていると思っています。

今までの常識を変え、行動に移していくこと

2018年の調査によると、世界では約8億人の人が飢餓に直面していることがわかります。
そして、日本でも数年前から十分な食べ物が食べられない子どもたちの実情が
取り上げられ、NPOや自治体などが「子ども食堂」の取り組みを始めています。

一方で、当たり前のように食べられる食べ物が捨てられているフードロスの現状をひとりでも
多くの人が理解して、できることを継続していくと、多くの問題を解決できる入り口が
見えてくるのではないでしょうか。

例えばですが、日本中に5万店舗あると言われるコンビニエンスストア(以下、コンビニ)では、
毎日10〜15kgの食品が捨てられています。
はじめの一歩として、コンビニやレストランなどの余剰部分をフードバンクなどに寄付をする
仕組みを作ると、困っている多くの人たちに食べ物を渡すことができます。

このような流れは、ひとつの解決策になりますが、問題の本質は解決されていないように思えます。

余剰を見越して、商品を揃えることにフードロスを生む原因があります。
どうして多めに商品を揃えるのかと言うと、私たち消費者の満足度を上げることが大きな要因です。
24時間、いつ行っても同じような商品が並んでいますので、便利には違いありませんが
コンビニが今あるようなコンビニであるためには、多くの食べ物とエネルギーを捨て続けなければなりません。
(もうひとつ踏み込むのならば、現状のコンビニで販売されているもの、そのものにも氣になる点があります)

流通の仕組みやサービスのあり方を変えるだけではなく、私たちひとりひとりが意識を変えることで、
新しい社会の基盤や誰にとっても暮らしやすい社会を築ける扉が開かれます。

フードロスを減らすための日本での取り組み

日本国内では、国を上げてフードロス問題に取り組み始めていますので、独自の取り組みを
実施している市町村が増加しています。
また、小売店や生産者と消費者をつなげるアプリの開発も進み、
登録者数をのばしている取り組みもあります。

例えば、2020年9月の段階で30万人以上が登録をしている、
フードシェアリングサービス「TABETE」では自治体とも連携をとりながら、
「食べられるもの」をフードロスにしない活動をしています。
心を込めて作られたものを全ていただくために、アプリを使い、
作り手と消費者の両方がしあわせになる仕組みを提供しています。

また、規格外の農産物に特化している通販サイトや、フードロスから美味しい食事を作り、
不定期で営業するお店もあります。

映画館での上映は終了してしまいましたが、
「もったいないキッチン」を観られた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
食材救出人として、8年間世界中を旅してきたオーストラリア人・ダーヴィッド氏が
「もったいない」精神の生まれた日本を旅するロードムービーです。
福島県から鹿児島までの1,600kmをキッチンカーで移動しながら、
各地で捨てられてしまう食材を使い、ごちそうに仕上げていきます。

そして、フードロスの解決策は意外にも目の前にあることが多く、
きっかけは私たちが生まれながらにして持っている
「もったいない」という、命やものを慈しむ心にもあるのではないでしょうか。

「大きい方がお得」だから、「3個買うと割引される」からで日々の買い物をするのではなく、
本当に必要なものを必要な分を見越して、購入する。
小さなの変化を継続する人が増えていくと、世界が変わる。
そう思っています。

間もなく、4月。
流れ行く季節も慈しみながら、すごしたいですね。
風の舞でした。

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