何を選びますか?②リーキーガットと腸内細菌叢

2020 11/09

皆さま、今日もお元気ですか?
Yukoです。

日本人の腸内細菌の数は、戦前と比べると三分の一くらいに減少しています。
このような衝撃的な数字が「すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい」(ジョシュ・アックス著)に出てきました。
※以下の引用部分はすべてこの本からの引用です。


先日、

①何を食べるか?
②何を使うか?
③ストレスとどう向き合うか?

これが大切だと書きました。
それは、①〜③にどう対処するかによって有害物質との出会いが増えたり減ったりし、それによってリーキーガットを発症するかどうかの分かれ目になるからです。

有害物質が直接私たちの身体を痛めることはもちろん、私たちの共生細菌たちに与える影響も見過ごすことはできません。
私たちは身体を共生細菌との協働で護っています。
ですから共生細菌のバランスが崩れること、多様性が崩れることがリーキーガット発症の引き金となることもあるのです。

腸内細菌が減るとどうして悪い?

腸内マイクロバイオータ(微生物叢)は体の機能をつかさどる上で重要な役割を果たしている。なかでも最も大切なのは、私たちの免疫システムを作り上げて育て、腸内の内膜を完全な状態のまま維持するということだろう。

ほとんどの微生物は宿主を危険なバクテリアから守り、代謝を調整し、消化を助けてくれている。バクテリアは一生懸命働いて食物を消化しビタミンを作り出し、私たちのホルモン・レベルを管理し、有害物質を処分し、天然化合物を作り出して腸の内膜に栄養を与えて保護する。

こうしたプロセスの中で細菌どうしがうまく相互に作用し合えれば、腸の内膜、そしてその中の免疫システムも完全な状態で守られることになる。しかしそのバランスが崩れると、結果は深刻なものになるだろう。

腸内細菌の数が減ってきていることはこの記事の中でも書きました。

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食べものの質が落ちて栄養価が下がっている上に腸内細菌の数が減り、彼らが作り出してくれている微量栄養素も減ってしまっているとしたら・・・。
腸の中は、身体の中は危機的な状況になってきているのではないか?
この飽食の時代にあって身体は飢餓状態になっているのではないか?
と私は危惧してしまうのです。

カロリーベースでは足りていたとしても、微量栄養素の助けがなければ代謝はまわりません。
代謝が回らなければエネルギーは足りず、身体の掃除もできず、炎症も抑えられず、老化が進み、病氣へとつながっていきます。

細菌の多様性が失われていることも大きな問題

ヤノマミ族のマイクロバイオームの多様性は平均的アメリカ人よりも40%以上高いことがわかった。この多様性の数値は、これまでにヒトグループで報告されたものの中でも最高レベルといえるだろう!
対照的にアメリカ人の消化管はまるで不毛の砂漠のようで、基本的な細菌種のうちの主要ないくつかが失われている。

どうしてこんな状況に陥ってしまったのだろうか?大きな原因の一つは抗生物質の常用だ。それと同時に、あらゆるものに含まれる抗菌剤にさらされていることもある。

細菌の多様性が失われると、ちょっとした原因で特定の菌が繁殖しやすくなり、細菌叢のバランスをとることが難しくなります。
また多様性があったからこそお互いの長所短所(人にとっての)を補い合っていたのに、有用な働きをしてくれる細菌が居なくなったり、有害な成分を無害化してくれる細菌が居なくなったり・・・。

人が集まって何かのプロジェクトを行おうとする時、多様な人材がいることがものすごく大きな推進力となります。
それと同じことが腸内細菌にもあてはまるのです。
ただ単なる総数の問題ではないことはわかっていただけると思います。

リーキーガットと自己免疫疾患と腸内細菌

現在、パズルの断片がゆっくりと組み合わさってくるにつれ、自己免疫疾患の症状のほとんどをリーキーガットによってまとめて説明できるかもしれないと、多くの医師や研究者が考え始めている。

腸が透過性の状態になると、ー略ー、すぐに、病原菌や扱いにくい分子が腸の内壁を通ってどんどん入り込んでくる。ウイルス、パラサイト、酵母菌、グルテン、そしてその他食べものに含まれるタンパク質、例えばカゼインなどが、暴れ狂い大混乱をもたらすことになる。
危険な細菌が大量に入り込むと、獲得免疫と自然免疫システムはオーバードライブにギアシフトし、体を安全に保とうとする。
そして入ってきたすべてのものに対して見境なく抗体を発射して攻撃し、その標的は自分自身の体内組織さえも含んでしまうのだ。

通常、人間の体には、こういった抗体の過活性化をチェックしすべてを制御させておくようにバランスをとるシステムがある。そのシステムの中心となる役割を果たすものは何だろうか?それがマイクロバイオームだ。カリフォルニア工科大学の研究者グループは、ヒトの70〜80%に存在する古くからの友人の細菌であるバクテロイデス属の細菌が抗炎症機能をサポートすることで体内の免疫システムのバランスを取っていることを発見した。
ただ残念なことに、このバクテロイデス属の細菌は近年では危機に瀕している細菌株の一種であり、カリフォルニア工科大学の研究者たちは、そのことが自己免疫症状の急速な増加に直接結びついていると考えている。

リーキーガット、自己免疫疾患、腸内細菌には密接なつながりがあります。
リーキーガットによって引き起こされた私たち自身の免疫システムの暴走が甲状腺を攻撃し橋本病を引き起こします。
その暴走を止める役割を果たすべき腸内細菌が、私たちの腸からいなくなり始めているのです。
多様性が失われつつあることの弊害が既に現れてきています。

また免疫システムの暴走のみでなく、有害物質の透過に起因する炎症反応が身体の至るところを破壊することによって、さまざまな病気の原因となっています。

腸内細菌の多様性を取り戻せ!

かつてのように、旬のもの、地元産のものを食べること。もっと多くの時間を戸外で過ごすこと。落ち葉の中を転げまわった犬を抱きしめること。子どもたちに泥のケーキを作らせて、公園で手を泥だらけにさせてやることだ。

理想的には、私たちは自分の住んでいる土地で育てられた食物を食べることに集中すべきだ。

果物や野菜などの食物繊維を多く摂ることに焦点をおいた食生活の指導によって、腸内細菌の多様性が向上する可能性を示す9年にも及ぶ追跡調査の研究結果もでているそうです。

今の不自然な生活を見直すことで、健康な腸内環境を取り戻せる可能性はあるのです。
そのためには、何を食べるか?という選択がとても重要な意味を帯びてくるのです。

次回は、①何を食べるか?をもう少し考えてみたいと思います。

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