「ググる」という言葉が生まれたように、辞書や百科事典にかわり、インターネット上で「検索して調べる」ことが幅広い世代に広がっています。この時に多くの人が、ほかに選択肢があることを考えずに、ヤフーやグーグルを使われているかと思います。自然派系の人たちの間で、じわりと広まりつつある検索エンジンがあります。
本日は、「知りたい」が植林に結びつく検索エンジン「Ecosia(エコシア)」の紹介をします。ドイツはベルリン生まれのこの検索エンジンを使って、調べものをすると苗木が植えられる仕組みになっています。
https://www.ecosia.org/
より心地よく、より自由に暮らすためのひとつの選択肢として、考えてみてください。
Ecosiaは太古の森を守る行動とアイデアから生まれる
こんにちは。風の舞です。
「ハンバッハの森」という名前を聞いたことがありますでしょうか? 現存するヨーロッパの原生林の中で一番古いと言われ、フランス国境に近いドイツにあります。1万2千年前から続くこの太古の森には、絶滅が危惧されている生き物も数多く暮らしているようです。
豊かな自然環境が残るこの森に石炭が見つかり、ドイツのエネルギー会社がこの周辺を1970年代に購入します。残された自然環境を守りたい人たちの想いや活動と平行しながら石炭の採掘が続き、1万年以上前からそこに在った木々は、現在10%ほどが残る状態になっています。
「Ecosia」もこの森を守るために活動を開始します。
そして、世界の流れや地球上の自然環境を考慮して、1本の苗木を植える行為が地球環境を守ることにつながると確信します。ここから「検索と自然保護を結びつける」アイデアが生まれ、2009年12月、検索時に発生する広告費で、植林活動をするEcosiaが誕生します。
Ecosiaがどんな企業なのかを知るための判断材料に「B-Corp認証」があります。環境面などでも持続可能な選択を企業理念としている会社に与えられている認証なのですが、初めて聞く人も多い認証かと思われますので、B-Corp認証について、かんたんに紹介します。
サスティナブルな理念を持つ企業が取得できる「B-Corp認証」とは?
非営利団体「B Lab」が、2006年にアメリカで設立され、独自の判断基準を設置して、一般企業向けに「B-Corp認証」を発行します。アルファベットのBは「Benefit」。利益という意味もありますが、それぞれの企業が実行する良い行いから生まれる「恩恵やメリット」に近いのではと思います。
おおよそ200問の質問から始まり、一定の基準をクリアした企業のみが取得できます。株主や企業自身の利益だけを追求するのではなく、消費者、従業員、そして、社会や環境に対して責任を果たしているか、透明性を持っているか、持続可能な対応をしているかなどが厳しく問われるようです。
2014年にEcosiaは、この認証をドイツの企業として初めて受け取ります。現在、B-Corp認証を取得している企業は、世界で約3,400社。よく知られている企業の中に、アウトドアブランドの「パタゴニア」があります。アジアでは、これから浸透がすすむと言われ、日本企業は現在5社、シンガポール12社、韓国が14社、そして台湾が一番多く、25社です。
認証を受けている企業の商品には、「B-Corp認証」が表示されます。国際社会全体で目標にしているSDGs(エスディージーズ)と共通する項目も多くみられることから、今後、買い物をするときのひとつの基準になっていくかもしれません。
検索から植林が生まれるEcosiaの特徴
検索と植林がどのように結びつくのか、すぐにはイメージできないかと思います。私たちが何気なく「ググる」ことで、検索サイトには広告収入が生まれています。Ecosiaでは、この広告収入の一部を植林事業に使っています。利益の約80%が寄付され、現在(2020年12月13日)、1億本以上の苗木が植えられ、公式サイトで最新情報が更新されています。
また、収支報告も公式サイトで提示されていますので、Ecosiaの活動が誰でもわかります。100%再生可能エネルギーを使用しているサーバーを活用。そして、広告を出している企業に検索データが売られることもなく、全ての情報が1週間以内に匿名化されます。
Ecosiaを使って検索する方法
Ecosiaの公式サイトにある検索窓に調べたいキーワードを日本語で入れると、グーグルなどで調べるように検索結果が表示されます。毎回このページを開いて検索することもできますし、ブラウザがクロームなら事前にインストールしておくと初期段階がEcosiaになります。
実際に使ってみましたが、「あれ?」と感じられるような違和感はなく、いつものように調べたいことがちゃんとわかりました。
また、Ecosiaの検索窓にキーワードと一緒に「#g」と打ち込むと、グーグルでの検索結果が表示されるので、手軽に使い分けも可能です。インストールしたけれど、やっぱり元に戻したいというときには、Ecosiaのアンインストールも簡単にできます。
まとめ
少しでも自然に優しく、そして心地よい暮らしをしていくためには、まずは、選択肢がいくつかあること。そして、目の前にある選択肢の中から、選んでいく決断力が時として、求められます。また、EcosiaやB-Corp認証などのように、「サスティナブルとうたっている」から良い、と短絡的に思うのではなく、情報過多になりがちな現代の暮らしの中では、第六感と言われる「心の目も」養っていきたい、そんな風に感じています。
今日もみなさまの周りにしあわせの風が吹くことを思い描いています。
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